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謹賀新年(令和4年 2022)

更新日:2021.12.31

年頭法話 「安坐」 (あんざ)

 ~少し楽に坐りなさい~

 

新年おめでとうございます。今年は干支の3番目の寅年です。寅は「動く」の意、植物でいうと「春が来て草木が生ずる状態」を表しています。今年は五黄の寅と言われ、この年に生まれる人は運気が強いとされています。「虎がうそぶけば 風が生じる」と表現されるように、虎は力強く勇敢で自信に満ちており、判断力や発言力があり、周囲の人を魅了する性格です。

今年の色紙には「安坐」と書きました。「安らかに坐る」という意味です。力強い虎も、象には勝てません。象が群をなせばまったく歯が立ちません。そこで虎が逃げ込むのは竹薮の中です。巨体の象は竹薮に入りません。竹薮に入ると象牙にヒビが入るからです。古来「竹に虎」はよく描かれる画題ですが、正月なので松竹梅に囲まれて安坐する可愛い虎になりました。

坐禅の修行といえば、かつて私は足の痛さで苦しみました。痛さも坐禅の内だと、じっと辛抱するのですが、坐禅の合間に少しだけ休憩することが許されます。組んだ足をはずし、あぐらになります。これが「安坐」です。ホッとします。あるとき、師匠から「安坐をしなさい」と言われて嬉しかった記憶があります。それは単に足が楽になるのではなく、立場を超えて本音の間柄になるのです。

「法句経」からお釈迦さまの言葉を紹介しましょう。「孤独の味、心の安らぎの味をあじわったならば、恐れも無く、罪過も無くなる、真理の味をあじわいながら」 安らかな年でありますように。

一畑薬師管長 飯塚大幸

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【色紙】 揮毫:飯塚大幸 管長 / 画:飯塚月真