謹賀新年 令和7年2025 乙巳
更新日:2025.01.01
年頭法話 「縁」~あらたに生まれる~
新年あけましておめでとうございます。今年の干支「巳」の漢字は、胎児の形をしているので「あらたに生まれる」という意味をもちます。巳年の「ヘビ」は脱皮をするので「生まれ変わる」つまり「再生」を象徴しています。
新年を迎えると、すべてが新鮮に見えてくるから不思議です。「日々あらたなり」という言葉がありますが、毎日が同じ繰り返しであっても、一日一日「あらたに生まれる」ように生きることを教えています。もとは中国古典『大学』の言葉で、古来、禅の修行でもよく引用されました。
私たちは「縁」によって生かされています。目に見える縁、目に見えない縁、さまざまな縁に生かされて、毎日「あらたに生まれる」ことを繰り返しているのが人生ではないでしょうか。ということで、今年の干支の色紙には「縁」と書きました。
今からおよそ2500年前に、お釈迦さまが菩提樹の下で長い瞑想のあと、お悟りを開かれたその心は「縁起」と言われます。即ち「縁」です。世の中はすべて「縁によって起こる」のだと。私たちの周囲で起こっている物事や現象には、必ず原因があり、次に縁があり、そして結果があるのだと。そして「すべて存在は尊いもので光明をもって存在している」と、お悟りの心を表現されたと言われています。
毎日、出会う人や出来事を大切にしたいです。自らの行いに応じて、縁は生まれてくるのかも知れない。そのように自らを戒めたいと思います。よきご縁の積み重ねにより、よき社会へ、よき世界へと転じていくことを願ってやみません。今年も皆様にとってよい年でありますように。皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
一畑薬師 管長(一畑寺 住職) 飯塚大幸 合掌
———-
【色紙】 揮毫:飯塚大幸 管長 / 画:飯塚月真