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2月の言葉「鬼と福」

更新日:2025.02.02

鬼と福

 皆様こんにちは。管長(住職)の飯塚大幸です。節分、豆まきに因んで「鬼と福」についてお話しましょう。

 鬼から子どもを守る仏さまは、お地蔵さんが有名です。別名は願王菩薩といい「多くの人々を救いたい」という願いを立てて、道端にまつられることが多い身近な仏さまです。

 子どもたちが、賽(さい)の河原で石積みをして遊んでいると、鬼が現れ、めちゃくちゃに壊します。子どもたちは、あわててお地蔵さんの衣の袖に隠れます。鬼がいなくなると、子どもたちはまた石積みを始めます。鬼もまた現れます。なぜ、お地蔵さんは鬼を完全に退治しないのでしょうか?

 この話では、鬼は困難を象徴しています。つまり、鬼も鬼なりの役割があって、子どもたちは鬼という困難によって大いに成長させられている、という教えです。仏教では、思うようにならないことを「苦」と言いますが、あるとき師匠が「苦しいときは、しめたと思え」と言いました。「苦」もまた成長の肥やしになるということです。

 最後に、私の思い出から。修行中、嫌で嫌でたまらない鬼のような先輩僧がいました。相部屋でした。寝顔を見て、よほどぶん殴ってやろうかと拳を握り締めたものです。結局できませんでした。あれから何十年。その先輩僧に会いました。懐かしく「この人には本当にお世話になった」と心から思えたのが不思議です。鬼が福になりました。
寒い毎日ですが、どうぞお元気でお過ごしください。

令和7年(2025)2月1日