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7月の言葉「鈴を鳴らすこの風」

更新日:2025.07.01

皆様こんにちは。管長(住職)の飯塚大幸です。中国地方は梅雨が明けました。初夏の青空はさわやかです。
一畑薬師では「風鈴まつり」を開催しています。6月21日(夏至)~9月23日(秋彼岸)、およそ3か月間にわたり風鈴をかけます。コロナの終息を願って始め、毎年、全国からご奉納をいただき、累計で1,800個を超えました。

 風鈴の歴史は古く、中国の「風鐸」がルーツで、8世紀ごろに僧侶が日本に持ち帰り、お寺のお堂や仏塔に吊るしました。風に吹かれて鳴る音が厄を除けるとされました。

目には見えない風が鈴を鳴らします。私たちは「風がふいた」と気づきます。そして涼を感じます。これはまるで、仏のはたらきと同じです。直接見ることはできなくても、私たちの心や体にふれて、そっと教えてくれているようです。

「大いなるものに いだかれあることを けさふく風の すずしさにしる」

臨済宗の名僧・山田無文老師は、若き日に重い病に倒れ、病床でこのような和歌を詠まれました。生きる希望を失いかけていたとき、静かにふいた風の涼しさにふれ、「ああ、自分には風があった、大いなるいのちにいだかれているのだ」と、深く感じられたのだそうです。

苦しいときほど、自然の世界に耳をすませてみてください。調子がいいときには、気づくことのないものに気づきます。風鈴の音のように、やさしく心に響くものがあるかもしれません。

鈴を鳴らすこの風は、世界につながる大空をふく。世界各地の災いを払い、平和をもたらしてくれることを祈ります。 暑い日がつづきますが、皆様どうぞご自愛ください。

令和7年(2025)7月1日