お知らせ

8月の言葉「慈しみの心を未来へ」

更新日:2025.08.20

皆様こんにちは。管長(住職)の飯塚大幸です。猛暑が続きますね。8月になりました。
今年は戦後80年です。6月に出雲國神仏霊場で世界平和を祈りました。仏教会でも各地で慰霊と平和の祈りを捧げます。戦後、私たちは平和の意味を問い続けてきました。

 しかし、世界各地で争いは絶えまぜん。力による現状変更を試みる侵略もあり愕然とします。私はそれは過去のことだと信じていましたが、現実はそうではありませんでした。
私は感じます。戦争や衝突の根底には、「自分たちは特別だ」という民族の優越の心、「相手を許せない」という原理主義、「怒りと恨み」に満ちた為政者の感情などがある。自分は正しいと信じながら、相手も真逆が正しいと信じています。話し合いはまるで無力のように感じます。

『法句経』というお釈迦様の言葉を伝える経典に、次のような一説があります。
「怨(うら)みに報いるに、怨みをもってしたならば、ついに怨みのやむことがない。怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である。」
この恨みの連鎖から脱する方法は、ただ「恨みを捨てる」という。なるほど、確かにその通りです。これしかないのかもしれません。

「恨み」の対極にある心は「慈しみ」です。仏教では「慈しみ」をもって、「他人の痛みをわがことのように感じる」生き方を説いています。恨みや怒りを手放すことができる「強さ」です。
私たち一人ひとりの「慈しみ」の心が、やがて社会を変えて行くことを願ってやみません。

この8月、お盆の灯明に照らされながら、ご先祖や亡き方に手を合わせながら、静かに自分の心を見つめ直してみたいと思います。私たち一人ひとりの「慈しみ」の心は小さいですが、過去から現在に至り、必ずや未来へ、そして世界へつながっていると信じたいです。

皆様がお元気でこの暑い夏をお過ごしになりますようにお祈り申し上げます。

令和7年(2025)8月1日