お知らせ

10月の言葉「内なる平和」

更新日:2025.11.14

皆様こんにちは。管長(住職)の飯塚大幸です。10月になりました。清々しい秋ですね。

先月の言葉で、ロンドン仏教協会のサマースクール(坐禅と仏教講座の1週間)に参加したとお伝えしました。日々の坐禅、たくさんの講話、参加者との会話、まるで修行時代にタイムスリップしたように、ひとつのことに向き合う時間を過ごしました。チベット仏教、タイ仏教、ブータン仏教の僧侶や、禅の修行者との交流も楽しいものでした。

 強く心を打たれたものに、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世を描いた来年の映画があります。彼は、輪廻転生の伝統によりわずか4才で即位し、チベット動乱で祖国を追われる波乱の人生の中、政治的権限を手放し、世界の人々に平和と心の安らぎを説き、今年で90才を迎えます。世界中の支援者により制作された「幸せの智慧 / Wisdom of Happiness」というドキュメンタリー映画です。家族への想い、気さくな人柄、慈しみの語り。未公開ながら全編を観ることができました。

日本での封切は来年以降と思われます。民族、文化、信仰を超えて、心に響くメッセージ。人の道の原点に触れるようで、私はとても感銘を受けました。予告編の字幕を訳してみました。
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「この小さな地球に生きる、兄弟姉妹である皆さんへ。
心が少し乱れたときには、深く息を吸い込み、静かに吐き出してください。

私が語るのは、神の話ではありません。来世の話でもありません。
今この人生、たった一度の人生です。

80億の人間は、敵であれ誰であれ、誰もが平和を望んでいます。
しかし、平和は空から降ってくるものではありません。

21世紀はけっして容易な時代ではありません。多くの困難が待ち受けています。
心を乱す行動は、心を乱す感情から生まれます。

だからこそ今、私たちの世界には、心について、感情についての知恵が必要なのです。
その感情と、いかに向き合い、いかに調えるか。それを学ばねばなりません。

人生の本当の目的は、幸福と喜びにあります。
もし内なる平和を得ることができたなら、その人はすでに幸福な人生を手にしているのです。」
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いかがでしょうか。ただ「内なる平和」を語っています。シンプルなメッセージがとても新鮮です。私も「よし、頑張るぞ」という気持ちがわいてきました。

最後に、来る10月19日(日)10時30分、観音堂の落慶法要を開催します。工事はまだ続いており、どうやら直前に完工かという緊迫した状況です。ひとえに多くの方の温かいご支援によります。誠に有難く、まさに感謝の秋です。

観音堂は、一畑薬師でもっとも眺めのよい場所に建てられているお堂です。大きな窓と縁側を設けて、自らに向き合う「天空のお堂」として親しんでいただければと考えています。
秋の深まりとともに、私たちの心も深まります。皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。

令和7年(2025)10月1日