11月の言葉「天空の観音様」
更新日:2025.11.14
皆様こんにちは。管長(住職)の飯塚大幸です。11月になりました。秋は一段と深まり寒くなってきました。ご自愛ください。
さて、10月19日(日)、観音堂の落慶法要(完成のおつとめ)を無事に営むことができました。多くの方からのご支援により、美しく立派に修復させていただくことができました。心より厚く御礼を申し上げます。
落慶法要には、総勢200名近い縁者の皆様のご参列をいただきました。山陰尺八道場の先生方には、虚無僧時代の古典本曲を捧げていただき、私は落慶香語(漢詩の偈)を大声で唱え、続いて、般若心経、観音経の偈文などを皆で唱えました。

この観音堂は、昭和18年に建てられたお堂です。もとは、本堂修復のとき、お薬師様を仮安置する建物でした。日中戦争から太平洋戦争へ突入した戦時下にありながら、多くの方々の篤い支援により、お寺の創開1050年に工事が完遂されました。
実は、40年前から雨漏りが続き、天井裏にタライを置いてしのぎ、毎年のように部分補修を続けていました。ところが、軽量チタン材を特別に破格の値段で提供いただけるという、千載一遇のご縁があり、このチャンスを逃すことは出来ないと、全面的な屋根とお堂の修復をすることになったのです。
私は思いました。元に修復するだけではもったいない。今まで以上に多くの方に親しんでいただけるお堂にできないだろうか。境内でもっとも眺望のよい立地を生かして、東面にガラス窓を設ければ絶景が望める。「天空の瞑想」「お写経」や「お砂踏み」を行い、自らに向き合う「生きたお堂」として、皆様に親しまれるお堂にしたい。そのように発願をしたのが、わずか3年前でした。

厳しい時代にありながら、仏天の加護のもと、皆様の温かいご支援、関係者のご尽力により、立派に修復させていただくことができました。本当に有難うございました。
この観音様は「瑠璃観世音菩薩」と尊称され、本尊お薬師さまの変化身と伝えられています。「観世音」とは「世の人々の声(音)を観る」 私たちの苦厄を癒やし、心を安らかに導いてくださる尊いお姿です。標高200メートル、出雲神話の舞台を一望する「天空の観音様」として親しんでください。
深まる秋、空気も澄み、心の目をひらく。私たちの心も清浄になっていきますように。合掌
令和7年(2025)11月1日
